プロジェクト概要

Overview

研究目的

インターネットと携帯電話(モバイルネット)は共に誕生後30年余を経て今やICT社会の象徴となった。前者はあらゆる産業分野において画期的な数々のサービスを提供し、人々の社会活動を一変する革命をもたらした。後者はいつでも、世界中のどこにいても、さらに誰とでも通信ができる社会を実現した。ナローバンドという物理的制約の下にあるモバイルネットは、包含するコンテンツやサービスの質・量ともにインターネットのそれには遠く及ばない。

ポストICT社会に求められるものは、インターネットが保有する膨大な知識とサービスをモバイルネットによって遍在化(ユビキタス化)させることである。そのためにはモバイルネットのナローバンド制約からの解放、すなわちブロードバンド化が必須である。本研究は、今後20年のポストICT社会に求められるユビキタスブロードバンドモバイル通信実現のためのキーインフラ開発を行なうものである。

研究概要

無線メッシュネットワークの図無線メッシュネットワーク

有線バックホール回線の敷設を抑制するほぼ唯一と言ってよい技術がMESH ネットワークである。

MESH ネットワークとは基地局同士を無線で接続したネットワークのことを指し、数局~十数局おきに有線回線に接続されたコア基地局1 台を定め、これを起点に無線で中継接続された複数の基地局を設置する。これにより有線回線の敷設コストを抑制しながらエリアを確保できる。

コストをより低減するためには、コア基地局に無線で中継接続される基地局数が出来る限り多いほうが好ましく、そのためには高い中継回線容量を持ったMESH ネットワークシステムが必要となる。

本研究は設置すれば即ブロードバンド通信エリアが確保できるような、掌に乗るくらい小型で、かつ高い中継回線容量を持つ無線MESHネットワークシステムの研究開発を行なうことを目的とする。

■本プロジェクトを支える3つのコア技術
IPT方式
(Intermittent Periodic Transmit)
電波干渉をうまく制御し高い中継伝送効率を達成する独自のパケット伝送プロトコル。従来の中継伝送方式に比べて10段ホップで約2倍のスループットを達成。
MIMOの適用 MIMO を適用すれば、限られた周波数帯域であってもアンテナ本数を増大させることで伝送速度を上げることが出来る。すなわち、MIMO によって大容量中継に必要な帯域幅をアンテナの数で置き換えるのである。
アンテナ小型化 MESH 基地局間の通信距離を伸ばすためには高い主軸ゲインを持つアンテナが必要となるが、ゲインを持たせれば持たせるほどアンテナのサイズは大きくなる。そこで、当研究グループが保有する微小アンテナ技術を適用することでアンテナの小型化を実現する。

研究成果の波及効果

【社会】
PC に無線ブロードバンド通信機能が備わっていれば、大容量ストレージも、高速CPU も、大きなメモリも必要ない。メール、ワープロ、表計算、ありとあらゆるソフトウェアがweb 上でのブロードバンドアプリケーションの一つとして提供できる。その結果、現在の携帯電話並みのバッテリ持続を可能にするPC の出現も夢ではない。

【産業界】
ブロードバンド通信がどこでも利用できる環境が整備されたとき、音声トラフィックはわずかな帯域しか必要としないため、音声通話のコストは劇的に低減できるだろう。MESH によって無線ブロードバンドを自由に安く利用してもらう環境が可能であることが人々から認知され広まれば、オペレータと電話機メーカのパワーバランスにも影響を及ぼし、後者の国際競争力強化を促す契機となる可能性がある。